第3回ヘルスケアベンチャー大賞

ご挨拶

 日本抗加齢協会と日本抗加齢医学会では、昨年に引き続き、今年も第3回ヘルスケアベンチャー大賞を開催いたします。「アンチエイジングからイノベーションを!」をテーマに、日本発の、新しい、“ごきげん“で、健康寿命を延伸しながら外貨を稼ぐ産業の応援をしたいというのが、本賞の主旨です。

 日本には、食生活やマインドセットなど、多数のアンチエイジングの素材があります。それらを、これから活用が進んでいくAIや、科学の進化、エビデンス、ライフスタイルモディフィケーション(LSM)などと組み合わせて、新しい産業の誕生を期待しています。最終審査は10月29日(金)にハイブリッド形式で開催予定ですので、奮って応募ください。

 現在、わが国では、医療費の輸入超過が拡大し、大きな問題となっているのは周知のとおりで、その超過額は実に、医薬品で3兆円、医療機器で1兆円といわれています。アンチエイジング領域においても、皮膚の若返りのレーザーやホルモン治療、キレーション治療など、多くのプロダクトは海外製であり、より新しくすぐれたアンチエイジング医療を導入するには、日本から外貨を流出させなければならないのが現状です。この流れを何とか変えるべく、世界を牽引できるアンチエイジング産業の興隆を目指して、このヘルスケアベンチャー大賞はスタートしました。

 かつては私自身もユーザーの立場でしたが、これからは、新しいアンチエイジングの産業を興し、世界に日本発のアンチエイジングプロダクトを流通させ、外貨を稼げるようにならなければだめだと気づき、真剣に取り組んでいるところです。

 日本は世界でも有数の長寿大国であり、世界に発信できる技術や医薬品のシーズがたくさん眠っていると思います。そして、このような社会の流れを支援し、新しいアイデアや産業を応援し育てていくことが、協会、学会の使命と考えます。ぜひ、多数のご応募をお待ちしております。


坪田一男

実行委員会委員長
日本抗加齢医学会イノベーション委員会委員長
株式会社坪田ラボCEO  坪田 一男

開催概要

主催
日本抗加齢協会
共催
日本抗加齢医学会
後援
三井不動産LINK-J読売新聞社
協賛
株式会社オールアバウトバイオ・サイト・キャピタル株式会社株式会社ケアネット
スケジュール
[募集期間] 2021年5月10日(月)〜7月26日(月)8月6日(金)まで延長
[審査期間] 2021年8月6日(金)〜8月20日(金)
[1次審査(ファイナリスト決定)] 2021年8月30日(月)~9月3日(金)
[ファイナリスト発表] 2021年9月6日(月)
[最終審査会] 日時:2021年10月29日(金)15:00〜17:00
 開催形式:会場開催とWEBのハイブリッド、場合によってはWEBのみの開催予定
 会場候補:日本橋ホール (東京都中央区日本橋二丁目5番1号)
 ※開催方式は8月に最終決定をいたします。
募集テーマ
アンチエイジングからイノベーションを!
アンチエイジングに資するヘルケア分野のビジネスプラン/アイデアを広く募ります。
生活習慣病の予防、老化による疾病予防、高齢者の自立、医療、介護、技術、
創薬、遺伝子治療、再生医療製品、食品、化粧品、AI、ヘルスケアIT、
ビッグデータ解析、ディープラーニング、ウェラブルデバイス、環境など
賞金
大賞:100 万円 学会賞:30 万円
ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞:20 万円
最優秀アイデア賞:15 万円 アイデア賞:10 万円
副賞
ファイナリスト企業を「日本抗加齢協会認定スタートアップカンパニー」に認定します。
起業支援サービス
大学発新産業創出プログラム(START)への推薦
製品やサービスの紹介(生活総合情報サイトAll About、ケアネット)
必要に応じて医学的な見地でのアドバイスや監修
大賞、学会賞受賞者は、第22回総会での発表(シンポジウム)
受賞企業に、第22回総会の企業展示支援
実行委員会
【日本抗加齢医学会イノベーション委員会】
■委員長
 坪田 一男(株式会社坪田ラボCEO)
■委員
 堀江 重郎(順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学 教授)
 森下 竜一(大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 教授)
 新村 健(兵庫医科大学総合診療科 主任教授)
 尾池 雄一(熊本大学大学院生命科学研究部・医学系総合医薬科学部門 代謝・循環医学講座分子遺伝学分野 教授)
 中神 啓徳(大阪大学大学院医学系研究科健康発達医学講座 教授)
 佐野 元昭(慶應義塾大学循環器内科 准教授)
 古家 大祐(金沢医科大学糖尿病・内分泌代謝内科 教授)
 江幡 哲也(株式会社オールアバウト 代表取締役社長)
 福田 伸生(バイオ・サイト・キャピタル株式会社 専務取締役)
 藤井 勝博(株式会社ケアネット 代表取締役社長)

応募について

応募条件
企業、団体、個人
※企業の場合は、ベンチャー企業のほか、企業の新規事業、社内ベンチャーも可とします。
※個人の場合は、日本抗加齢医学会会員または、日本抗加齢協会賛助会員社に所属する者とします。まだ会員となっていない場合は、応募前にご入会をお願いします。
※アイデア賞は個人のみとします。
募集期間
2021年7月26日(月)8月6日(金)まで延長必着
応募先
電子メールに応募資料を添付して、下記へ送信してください。
ヘルスケアベンチャー大賞事務局 healthcare-v@anti-aging.gr.jp
件名:「第3回ヘルスケアベンチャー大賞 応募(応募企業/団体名または個人名)」
応募方法
応募書式1と2をダウンロードし、必要事項を記載してご応募ください。
この様式ファイル以外にパワーポイント形式またはPDF形式のプレゼン資料を添付いただいても結構です(様式自由)。
ただし、応募様式を含めて9MB未満に収めてください。(分割での送信やファイル転送サービスを利用した応募はしないで下さい)。
■企業、団体での応募方法
応募書式1(Excel) ダウンロード 企業用応募書式1
 (1) 応募企業情報
 (2) 担当者情報
 (3)応募ビジネス情報
応募書式2(Word) ダウンロード 企業用応募書式2
 (1) 本件応募ビジネスの説明
 (2) 応募企業の実績
 (3) 研究開発の業績
 (4) 研究開発・製品開発の体制
 (5) 支援ニーズについて

■個人での応募方法
応募書式1(Excel) ダウンロード 個人用応募書式1
 (1) 応募者情報
 (2) 応募アイデア情報
 (3) 応募条件に関する情報
応募書式2(Word) ダウンロード 個人用応募書式2
 (1) 本件応募アイデアの説明
 (2) 応募の背景
 (3) 研究開発の業績
 (4) 研究開発・製品開発の構想
 (5) 支援ニーズについて

審査基準
について
(1) インベンション(新規性、独自性、実現可能性)
(2) コマーシャライゼーション(市場規模、収益性)
(3) 社会貢献性
の複合点で優劣を判定します。
選考・最終審査
について
書類選考でファイナリスト(企業 5枠/個人 3枠)を選出します。
最終審査でファイナリストにはプレゼンテーションを行い、その場で最終選考ならびに受賞者を決定し、授賞式を行います。
書類選考の参考として、必要に応じ面談をさせていただく場合があります。
ファイナリストにはプレゼンに関するアドバイスをさせていただく場合があります。
最終審査会
最終審査会は以下の通り開催いたします。参加はどなたでも可能ですが、事前に登録をお願いします。
■日時:2021年10月29日(金)15:00〜17:00
■開催形式:会場開催とWEBのハイブリッド、場合によってはWEBのみの開催予定
■会場候補:日本橋ホール (東京都中央区日本橋二丁目5番1号)※開催方式は8月に最終決定をいたします。
■スケジュール:
1.実行委員長挨拶
2.本日の進行についての説明
3.ファイナリストによるプレゼンテーション
4.特別講演「Bench to Bedside の時代から Bedside to Community の時代へ ~今、われわれが成すべきことは~」
石見 陽(いわみ よう) メドピア株式会社 代表取締役社長 CEO(医師・医学博士)
石見 陽
1999年に信州大学医学部を卒業し、東京女子医科大学病院循環器内科学に入局。
循環器内科医として勤務する傍ら、2004年12月にメドピア株式会社(旧、株式会社メディカル・オブリージュ)を設立。
2007年8月に医師専用コミュニティサイト「MedPeer(旧、Next Doctors)」を開設し、現在12万人の医師(国内医師の3人に1人)が参加するプラットフォームへと成長させる。2014年に東証マザーズ、2020年に東証一部に上場。
2015年より、ヘルステックにおける世界最大規模のグローバルカンファレンス「HIMSS & Health 2.0」を日本に誘致して主催。
現在も週一回の診療を継続する、現役医師兼経営者。
共著「ハグレ医者 臨床だけがキャリアじゃない!」(日経BP社)、その他「世界一受けたい授業」や「羽鳥慎一モーニングショー」など各種メディアに出演し、現場の医師の声を発信。
5.審査結果発表と各賞表彰式
  大賞  100万円
  学会賞 30万円
  ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞 20万円
  最優秀アイデア賞 15万円
  アイデア賞 10万円
6.審査委員長より総評
7.閉会の挨拶
お問合せ先
ヘルスケアベンチャー大賞事務局(日本抗加齢協会内)
〒103-0024東京都中央区日本橋小舟町6-3 日本橋山大ビル4F
e-mail:healthcare-v@anti-aging.gr.jp
TEL:03-5651-7503
※審査に関するついてのお問い合わせには応じられません。

© 2020 Anti-Aging Foundation All Rights Reserved.
日本抗加齢協会 日本抗加齢医学会



第2回ヘルスケアベンチャー大賞 実施報告

坪田一男

実行委員会委員長
日本抗加齢医学会イノベーション委員会委員長 坪田 一男

はじめに

 皆様COVID-19の中お元気でお過ごしでしょうか?2017年に設立されからイノベーション委員会は活発に活動をしています。2019年に第1回のヘルスケアベンチャー大賞を主催して盛り上がりましたのはご存知の通りです。今回2020年はCOVID-19のため残念ながらオンサイトでの主催はできなかったのですが、ベンチャー大賞事務局の福田伸生さん、学会事務局の中村智子さんと委員会メンバーの方の強力なサポートのもと昨年よりも大きな応募を得て大きく盛り上がりましたので報告します。また委員会のメンバーも新しくなり(表1)、多様性のある委員会となってきました。

表1 日本抗加齢医学会イノベーション委員会名簿

日本抗加齢医学会イノベーション委員会
委員長
坪田 一男 (慶應義塾大学医学部眼科学教室教授)
委員
堀江 重郎(順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学 教授)
森下 竜一(大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 教授)
新村 健 (兵庫医科大学総合診療科 主任教授)
尾池 雄一(熊本大学大学院生命科学研究部・医学系総合医薬科学部門代謝・循環医学講座分子遺伝学分野 教授)
中神 啓徳(大阪大学大学院医学系研究科健康発達医学講座 教授)
佐野 元昭(慶應義塾大学循環器内科 准教授)
古家 大祐(金沢医科大学糖尿病・内分泌代謝内科 教授)
江幡 哲也(オールアバウト株式会社 代表取締役社長)
福田 伸生(バイオ・サイト・キャピタル株式会社 専務取締役)
藤井 勝博(株式会社ケアネット 代表取締役社長)

日本におけるヘルスケアイノベーションの必要性

 図1を見てほしい。日本坑加齢学会は2000年に設立されたがその時点での日本の医薬品の輸出入額の差異はまだそれほど大きくなく、まあちょっと輸入が多いねという程度であった。ところがその後2004年あたりより輸入が大きく増えて、現在では医療器具とあわせると3兆円以上の輸入超過になっている。実際アンチエイジング医療で使われている薬剤、サプリメント、医療器具なども海外製品が多いことにお気付きの先生も多いのではないだろうか。新しいサプリメント、あたらしい美容の機器やレーザー機器などなどたくさんの新しいアンチエイジングアプローチが行われているがほとんどが輸入業者による日本市場への導入であり、これでは我々は単に海外の会社のユーザーになってしまう。

 病気を治すという医学の本流はもとより我々のアンチエイジング医学においても日本独自のイノベーションが必要だ。現在主要な大学や研究機関でアンチエイジングが真剣に取り上げられていない以上、我々日本坑加齢学会の研究者、メンバーがこの問題に真摯に取り組まなければいけない。イノベーション委員会はそのような危機感のもとになんとか良い道を作りたいと行動している。

図1医薬品輸出入額の推移

医薬品輸出入額の推移

日本におけるイノベーション創出

 本学会副理事長の森下竜一先生らの努力によって、サプリメントなどの機能性表示システムができたことは、エビデンスのあるサプリメントを開発し世界に問うという観点からは画期的であった。ただシーズになるサイエンスを薬剤やサプリメントにまで発展させるシステムはまだまだ日本は貧弱と言わざるを得ない。アメリカではすでに1982年よりSBIR(Small Business Invention Research)というプログラムを走らせて大学の研究者をイノベーターにしたてて産業を興すことに成功している。すなわち毎年2000人以上の研究者に1000万円ほどのスタートアップを起こす資金を提供し、1年後に可能性があれば1億年を提供するというプログラムだ(https://www.sbir.gov/about)。これによりギリアドサイエンス、iROBOTなどの企業が生まれたと言われる。

 日本でも1999年から日本版SBIRが存在したがうまく機能しなかったため政府はあらたに新日本版SBIR https://www.meti.go.jp/press/2020/10/20201002002/20201002002.html を開始することを閣議決定している。これから良いアイデアを起業を通してイノベーションにつなげる道はますます増えてくると思われ、本学会としてもそのような動きを後押ししたいと思っている。

第2回ヘルスケアベンチャー大賞

 このようなイノベーションの流れをなんとか学会にも起こしたいとヘルスケアベンチャー大賞は創設された。今回も第1回を上回る多数の応募があり昨年10月26日(月)にウェブ上で最終選考が行われた(表2)。今回は企業に対しては学会賞、個人に対してはアイデア賞を授与するという方針のもとに厳正な選考が行われた。最終選考に残ったチームはすべてすばらしかったが、大賞には合同会社アントラクトが「StA²BLEによる転倒リスク評価と機能回復訓練事業」選ばれた。学会賞には株式会社レストアビジョン「視覚再生遺伝子治療薬開発」、ヘルスケアイノベーション賞には株式会社OUI「Smart Eye Cameraを使用した白内障診断AIの開発」株式会社 Surfs Med変形性膝関節症に対する次世代インプラントの開発」歯っぴー株式会社「テクノロジーで普及を拡張させる口腔ケア事業」の3社が選ばれた。
最優秀アイデア賞には松本 成史 旭川医科大学
「メンズヘルス指標に有効な新規「勃起力」計測装置の開発」 が選ばれたが、まさに坑加齢学会の神髄のような“勃起力”をまじめにサイエンスする松本先生の講演には本当に感動した。チャンスがあったらぜひお聞きしてみてください。
各受賞者のコメントは別に掲載されていますのでご覧ください。
また審査の間行われた特別講演にはイノベーションの創造と拡大の方法」
というテーマで
医療法人社団鉄祐会理事長武藤 真祐先生が講演をしてくださり非常に勉強になった。
昨年は経産省の江崎先生の御講演だったがこのように毎年ホットなトピックの講演を聞くことができるのも本学会賞の大きな魅力と思う。

写真1 最終審査会ライブ配信の様子

医薬品輸出入額の推移

未来に向けて

 今回COVID-19にも関わらず、オンラインにて第2回ヘルスケアベンチャー大賞を無事開催でき、報告できることをとても嬉しく思う。

 最初から最後まで運営を行ってくれたバイオ・サイト・キャピタル株式会社 専務取締役の福田伸生さん、事務局の中村智子さんにはこの場を借りてあらためてお礼申し上げたい。またイノベーション委員会のメンバーの先生方にも予備審査から当日のご参加までたくさんにお時間をいただき感謝している。

 個人的なことだが、この3月31日で慶應義塾大学医学部眼科教授を退任した。自分なりに一生懸命やってきたつもりだが、自分が教授に就任した2004年には図1にあるように医薬品の輸入問題は大きくはなっていなかった。それから17年間、輸入額は増えるばかりであり自分としてはこの問題になにもお役にたてなかったと心から残念に思っている。さらに悪いことにはちょっと前までこのような状況を自分自身も知らなかったことだ。気づいてみれば自分の使っている眼科顕微鏡、白内障手術器械、挿入する眼内レンズなどほとんどすべてが海外製品に置き換わっていた。薬剤も例外ではない。自分は研究者であり、患者様をケアする優等生医師だと思っていたら、なんと海外医薬品メーカー、医療器具メーカーの優等ユーザーになっていたのだ。

 坑加齢医学の分野もこのままでは海外からの製品を使うだけのユーザー集団になってしまう可能性がある。やはりここは長寿の国日本としてなんとかがんばり日本独自のアンチエイジングアプローチを開発していきたい。そのためには製薬会社や医療器具メーカー、サプリメントメーカーにまかせきりではなく、我々会員自ら新しいアイデアを大切にしてイノベーションを起こしていけるような風土ができたらうれしいと思う。

第3回ヘルスケアベンチャー大賞を行いますので、ぜひ皆様からの応募をよろしくお願いします!

第2回ヘルスケアベンチャー大賞を終えて

福田伸生

ヘルスケアベンチャー大賞事務局
バイオ・サイトキャピタル株式会社
福田 伸生

 今回の最終選考会はCOVID-19と世界中が闘う中、新しい生活様式に即しオンラインでの開催となりましたが、私はその司会を務めさせていただきました。昨年の第1回では司会進行を森下竜一先生が務められ、その軽妙洒脱な語り口に会場の参加者が魅了されましたが、今回は観客も無くひたすらモニターに向けて語り掛けるだけと、私自身初めての経験でした。学会・協会事務局と企画・映像配信スタッフの皆さんの支えにより、なんとか終えることができ、改めて感謝申し上げます。

 一方、第1回はアンチエイジングフェアの会場内に設けられた特設会場であったため、どのような方々が聴講して下さったのか分かりませんでしたが、今回は、オンライン配信に事前登録した方々の中に多くの投資家やベンチャーキャピタルの名前を見つけることができました。事業にとって大切なのは資金調達です。この大賞が果たす支援機能が拡充されたものと喜んでおります。

 今回は前回を上回る36件の応募があり、レベルも確実に上がっていると感じられました。日本抗加齢医学会には医療従事者が多く所属されているので、COVID-19緊急事態宣言下での募集に一抹の不安がありましたが、多くの応募をいただきその不安は杞憂に終わりました。コンテストは、ほんの一握りの方々しか受賞できませんが、受賞者のコメントはそれぞれアンチエイジングで、日本を、世界をより良い方向へ変えていこうという気持ちがあふれていて、私たちに感動を与えてくれます。また、第1回の応募では惨敗したが、この1年ビジネスの側面を磨いて受賞したとのコメントもありました。落選しても1年後に成長した姿を見せていただけるよう、私たちも次の第3回を用意して皆さんからの再挑戦をお待ちいたします。

 どんなに立派な研究成果も、イノベーションとして社会実装するためには、越えねばならないハードルがあるように思います。社会が抱えるどのような課題を解決するのか、それは多くの人々の共感を呼ぶものであるのかという必要性、別の言葉に置き換えると市場性は重要です。それと、ビジネスとして継続できることが重要です。せっかく製品化できても、市場に継続して届けることができなければ意味がありません。そのためには事業を継続するための組織とそれを維持するための収益が必要です。そして最後に、研究成果を事業に結実させるための情熱「パッション」が必要です。最終選考会へノミネートされるためには書類審査を経なければなりませんが、第1回に比べて第2回ではこの情熱の熱量が格段に上がったように思います。書類審査に携わっていただいた委員の皆様には、この膨大な熱量のこもった申請書を丁寧に査読いただきました。事務局を代表して厚く御礼申し上げます。

 2021年も引き続きwith COVID-19の状況は続いていますが、アンチエイジングが開く明るい未来を信じて、今年も第3回ヘルスケアベンチャー大賞を開催予定です。私は研究者ではありませんが、坪田一男大会実行委員長をリーダーとする応援団の一員として皆様の研究成果が世に出ることを願っております。

 引き続きヘルスケアベンチャー大賞へのご理解を賜り、皆様からの多くのご応募をお待ちいたします。

第2回ヘルスケアベンチャー 受賞者コメント

大賞(企業)
合同会社アントラクト 島 圭介
「StA²BLEによる転倒リスク評価と機能回復訓練事業」

 この度は、第2回ヘルスケアベンチャー大賞への選出、誠にありがとうございます.非常に名誉な賞を頂戴し、心より光栄に存じます。

 弊社は横浜国立大学発ベンチャーとして2019年に設立しました。これまで大学において転倒予防の研究を進める中で、高齢者が抱える「転倒事故のリスク」を正しく把握・検査する方法論が存在しないことをあらためて知りました。超高齢社会と呼ばれる日本において、健康寿命を延ばすため転倒予防の対策は急務であり、そのために転倒リスクの可視化は欠かせません。また高齢化する産業現場においても、作業者の転倒リスクの把握によって適材適所の人員配置や、労働災害の防止が期待できます。

 我々が提案する「StA²BLE」は、わずか1分で自身が抱える転倒のリスク(立位年齢®)を把握できる極めて画期的な方法論であり、医療現場や高齢者福祉施設、産業現場、あるいは自治体が主催する健康診断に至るまで、様々なシーンで活用が可能な技術です。自身の転倒リスクを立位年齢®として知り、それぞれが有する転倒のリスクに合わせた身体機能維持の訓練(立位年齢®の若返り訓練)をする。そんな新しい形のアンチエイジングが提供できます。

 これまでに企業内の健診、全国の展示会や健康まつりなどに参加して、データベースの拡充と広報活動を進めてまいりました。共同研究をしている先生方や学生達の協力によって、20代~80代までの約1、400人を超える計測データを収集できたことが、精度の高い転倒リスクの算出を可能とし、今回の受賞につながりました。今後もさらなる検査精度を確立のため、引き続きデータベースの拡充を進めるとともに、「立位年齢®で転倒リスクを知る」という考え方を広めていきたいと考えています。

 今回の受賞でStA²BLEがアンチエイジングという視点で高いポテンシャルを持っていること、そして社会に大きなインパクトを与え得ることを強く再認識しました。立位年齢®が持つ可能性を広げ、あらゆる人が転倒リスクの検査と転倒予防法を享受できる、そんな社会の実現に、今後も挑戦し続けます。ヘルスケアベンチャー大賞の受賞で、医療関係者や高齢者の皆様がStA²BLEおよび立位年齢®に少しでも興味を持っていただけることを切に願っています。


学会賞(企業)
株式会社レストアビジョン 堅田 侑作
    「視覚再生遺伝子治療薬開発」

 この度は、栄えある第2回ヘルスケアベンチャー大賞学会賞に選出頂き、誠に有難うございます。

 弊社は、名古屋工業大学と慶應義塾大学医学部眼科学教室の研究成果をもとに視覚予防再生遺伝子治療の創薬を通じて、失明の撲滅を目指しております。

 私はもともと臨床医で、未だに治療法の確立しない失明難病の網膜色素変性症の患者さんの治療法を研究すべく大学院でこの遺伝子治療の研究を行っておりました。開発は製薬企業の仕事という固定観念で、起業するということは当時全く考えておりませんでした。ところが指導教授からこれは自分で起業して開発しないといけないということを説明され、実際に卒業後社長という立場で働いてみて初めて、近年画期的新薬を創出しているのはほとんどがベンチャーであること、ほとんどが米国発であること、バイオ・遺伝子治療の製薬技術・治験のノウハウが日本で育っていないことなどを体感し、これは何とかしないといけないと大きな危機感と使命感を感じて現在も活動を行っています。

 実はヘルスケアベンチャー大賞に出場するのは2回目で前回は残念ながら惨敗してしまいました。今年こそはと思って、参加したところ、前回よりも出場者が多く、レベルも上がっており、これは今年も難しいかと思っていたところでの受賞だったのでとても嬉しいです。

 私はもともと臨床医かつ研究者で、経営や開発に関しては素人からのスタートで、特にチャレンジを始めたばかりの昨年度は今から思うとビジネスとして上手く伝えられなかったと思いますが、前回のヘルスケアベンチャー大賞を通じて審査員・大会関係者や参加者の皆様からいただいたアドバイスでこの1年間成長してこられた結果が受賞に結び付いたのだと感じています。

 有望なシーズを持ちながら、私のように自分で実用化するという選択肢が頭にない研究者の方々も多くいらっしゃるかと存じます。ぜひヘルスケアベンチャー大賞への応募を足掛かりに、起業もしくは事業の成長のチャンスを掴まれてはいかがでしょうか。


最優秀アイデア賞受賞(個人)
松本 成史 旭川医科大学教育研究推進センター 教授
「メンズヘルス指標に有効な新規「勃起力」計測装置の開発」

 この度は第2回ヘルスケアベンチャー大賞選考会にて個人の部で最優秀アイデア賞賞に選出して頂きましたこと、心より御礼申し上げます。

 高齢化社会の到来に伴い、加齢に伴う勃起不全(Erectile Dysfunction、以下ED)は増加傾向です。EDの発生と心血管イベント発生率は相関しており、ED診療ガイドラインでは、EDは心血管疾患の初発症状で、かつ心血管疾患のマーカーであるとされており、また高血圧治療ガイドラインでは、EDは50歳以上では加齢とともに増加し、高血圧自体がEDの頻度を高めるとされており、EDは男性の健康長寿の指標そのものとの考え方が認知されつつあります。

 WHOは、EDを含めた男性医学「メンズヘルス」を男性の健康支援のために推進することを推奨しています。EDを客観的に簡易に評価出来る新規「勃起力」計測装置を開発することにより、アンチエイジングに資するメンズヘルス指標として重要で有効なツールになると考えます。

 現在、EDの診断には、通常、夜間陰茎勃起現象の測定により行われ、代表的標準的診断装置であるRigiScan-PlusTM(以下RigiScan)を用いて他覚的所見を持って客観的診断することが理想でありますが、臨床現場ではPDE5阻害剤を代表とするED改善治療薬を内服し、その効果があるか否かだけで診断しているのが実態です。それは、RigiScanがセンサに繋がる2つのループを陰茎の先端部と根部に装着し、ループとセンサ入りの本体とは各々有線的に接続され、その本体は大腿部または腹部に固定して陰茎周囲長と硬度の変化を三連夜計測する装置であるために、患者にとっては「紐つき箱つき」の状態で非常に煩雑であり、また通常の生理的睡眠が担保されない状態での計測であることが背景にあります。これらが患者にとっては最大の問題点であり、RigiScanを用いた他覚的所見でEDの客観的診断が十分に出来ていないのが臨床現場の現状です。このためメンズヘルス指標として「勃起力」や「勃起度」の重要性が認知されても、ヘルスケアとして発展しにくいのが実際であると思われます。

 これらの背景、問題点から、EDを客観的に簡易に評価出来る新規「勃起力」計測装置の開発が必要であり、かつ「紐つき箱つき」では無い、新規方式の無拘束で自己測定可能な時系列連続監視出来るウェアラブルデバイスの医療機器としての診断装置やその波及としてのヘルスケア商品が望まれています。

 新たな計測原理・機序である「可変インダクタンス方式」を採用した新規「勃起力」計測装置の試作品を用いて、周囲径や硬度計測が出来ることを確認しました。

 EDを客観的に簡易に評価出来る新規「勃起力」計測装置が実用化されれば、「勃起力」や「勃起度」の程度が可視化、定量化されることにより、アンチエイジングに資するメンズヘルス指標になるだけでなく、他覚的所見を持って客観的診断が可能になることで臨床研究等が発展し、高齢化社会におけるEDや性機能障害等の研究そのものを促進し、波及効果も大いに期待出来ると思います。

 今回、最優秀アイデア賞に選出して頂き、またご支援を賜りましたことは、今後の研究開発、実用化に向けて大きな弾みとなります。この賞を頂いたことを励みにして、益々頑張っていきたいと思っております。


ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞 (企業)
株式会社OUI 清水 英輔
「Smart Eye Cameraを使用した白内障診断AIの開発」

 この度は、栄えある第2回ヘルスケアベンチャー大賞 ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞受賞に選んで頂き、誠に有難うございます。

 弊社は、現役眼科医が診療現場で感じた課題解決の為に、自ら発案・開発を行った、眼科診察ができるスマホアタッチメント型医療機器Smart Eye Camera(SEC)を発明・展開している、慶應義塾大学医学部発の大学ベンチャーです。(特許・医療機器届出も取得済。特許6627071/商標第6124317号/医療機器届出番号13B2X10198030101)。SECは、スマートホンのカメラと光源を利用し既存の細隙灯顕微鏡と同等の性能を発することができる医療機器です。現在、アジア・アフリカなどの途上国と日本それぞれにおいて、SECを活用した新しい眼科診療モデルの開発・実証に取り組んでいます。また、SECで取得した眼科的画像データを活用し、世界的に先進的な前眼部疾患の眼科診断AIの開発にも取り組んでいます。 これにより、世界の医師不足と医療機器不足を解決し、日本国内及び開発途上国・新興国における予防可能な失明と視力障害の根絶に寄与することを目指しております。

 創業のきっかけは、創業者である清水・矢津・明田の3名がNPO Fight for visionの国際医療協力プロジェクトで訪れたベトナム農村部のクリニックでの経験です。現地には細隙灯顕微鏡等の高価・高性能な医療機器が存在せず、日本では当たり前に実施可能であった前眼部の診察がままならない状況でした。日本では手術を受けることで治療が可能な白内障等の疾患によって、失明にまで追い込まれている患者が多く存在しているという社会課題を発見し、この課題を何とか解決したいという思いが、SECの発明につながりました。

 失明や視覚障害は人々の生活の質を大きく低下させ、医学的損失・経済的にも大きな損失を招きます。世界の視覚障害人口は22億人、失明人口は3、600万人と言われ、その半数が、白内障をはじめとする予防可能な疾患が原因といわれています。そして、適切な対策が取られない限り 失明人口は 3、600 万人(2017 年)から 1 億 1、500 万人(2050 年)へ増加すると予測されております。WHOは、視覚障害・失明の予防・促進をユニバーサル・ヘルス・カバレージ(UHC)達成のための核心的な課題と位置づけており掲げており、今後、更に重要性が増す世界的な課題です。

 私たちは、2025年までに世界の失明人口を半分にすることをミッションに掲げております。

 ヘルスケアベンチャー大賞の審査プロセスを通じ、審査員・関係者の方々から、多くの激励・応援のメッセージを頂けたこと、本当に心強く感じました。この素晴らしいイベントに参加できたことを心から感謝するとともに、今後とも多くの人たちにお力添えを頂きながら、ビジョンの実現に向けて邁進していきたいと思います。


ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞 (企業)
歯っぴー株式会社 小山 昭則
「テクノロジーで普及を拡張させる口腔ケア事業」

 この度は、第2回ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞に選んで頂き、誠に有難うございます。

 骨太の方針の中で、「口腔の健康は全身の健康にもつながる」という表現が2017年以降明記されています。しかし、ヘルスケアやアンチエイジングの中で「口腔の健康」を意識されている方は少なく、取り組む余地が大きいと考えています。

 では、なぜ意識が低いかを追求していく中で、自覚症状が出にくいこと、及び専門的知識がないと分からないことであることにたどり着きました。歯っぴー社はAIなどのテクノロジーでこれらの問題点をサポートしています。既に、行政との共同研究、企業様との実証実験で、仮説と検証を繰り返しながら、リーンスタートアップでコストをかけずに最低限の製品・サービス・機能を持った試作品を短期間でつくり、顧客の反応を的確に取得して、顧客がより満足できる製品・サービス開発を進めています。

 その活動の中で、偶然にこのコンテストを目にし、「アンチエイジング」、「日本発の医療」の2つのキーワードを目にした際に、このコンテストに挑戦する以外の選択肢はないと考え応募しました。光栄にも「ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞」に選んで頂きました。まさに、歯っぴー社が取り組んでいる「口腔の健康は全身の健康にもつながる」という文言に対して、もっとチャレンジしなさいというメッセージが込められていると認識しています。

 今回頂いた「ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞」、及び「日本抗加齢協会認定スタートアップカンパニー」を機に、日本抗加齢協会認定のご支援を頂きながら、「アンチエイジング」はもちろんのこと、「日本発の医療技術」としてグローバル展開も視野に入れた準備を進めてまいります。

 今回の「ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞」、及び「日本抗加齢協会認定スタートアップカンパニー」を励みにして、今後も「アンチエイジング」、「日本発の医療技術」の推進に頑張ってまいります。引き続きご指導宜しくお願い致します。


ヘルスケアイノベーションチャレンジ賞 (企業)
株式会社Surfs Med 松﨑 時夫
「変形性膝関節症に対する次世代インプラントの開発」

 弊社は東京大学のジャパンバイオデザインプログラム発のスタートアップ企業であり、共同創業者の早川と共に創業しました。私がこうしてヘルスケアベンチャー企業として起業に至った過程において、実は日本抗加齢医学会が大きなきっかけを与えてくださっていたので、この名誉ある賞は大変感慨深いものです。

 遡ること2014年に私はアメリカ留学前に学会員として参加した日本抗加齢医学会で、現サイバーダイン株式会社の山海先生の講演を聞き、医療機器開発に目覚めました。アメリカ留学中に変形性ひざ関節症の遺伝子解析や装具開発を行い、再生医療などにも携わらせていただき、今の治療法への開発に繋がっております。変形性ひざ関節症は軟骨が加齢や外傷などに伴いすり減っていく病気であり、世界で2億人以上の方が痛みに苦しんでおります。治療法はリハビリや鎮痛剤などの保存的治療から手術では人工関節や、現在多くの企業が参加しているような再生医療が挙げられます。

 人工関節の満足度は約80%であり、術後の屈曲角度の低下や大きな皮膚切開などの侵襲による疼痛が満足度低下の原因と考えられており、さらに人工関節置換術の手術数は年々増しているため、医療費増大も懸念されます。弊社のインプラントは低侵襲で回復が早く、安価で、骨を切らないために膝関節機能を温存できるような治療インプラントになります。弊社インプラントが変形性ひざ関節症の治療戦略において大きな選択肢となることを目標に開発していきます。我々はまだスタートしたばかりですので、ヘルスケアベンチャー大賞において次世代インプラントの開発を行っている事を広く認知していただきたい思いで応募させて頂きました。

 今後は皆様の期待に応えられるようにインプラント開発をスピード感をもって行い、いち早く患者さんの元へ届けられるようにしていきたいと考えております。


アイデア賞受賞コメント(個人)
佐藤 拓己 東京工科大学・応用生物学部・教授
「寿司を食べながらケトン体を高く保つ方法」で認知能力を回復したい

 この度は日本抗加齢学会において名誉ある賞をいただきありがとうございます。
私はケトン体を直接食べることを可能にするテクノロジーを目指しています。
本研究の今後の4つの目標を述べさせていただきます。

1. ケトン供与体で糖質制限なしにケトン体を増加させる
糖質制限は、インスリンスパイクの抑制を介して、ケトン体濃度の増加を誘導します。これに対して「ケトン供与体」はインスリンスパイクの影響を殆ど受けません。ケトン供与体は、消化管内で酵素により加水分解され、消化管内でケトン体を放出するからです。ケトン供与体には主にケトン体のナトリウム塩、ケトンエステルそしてポリヒドロキシ酪酸(PHB)があります。

2.ケトン供与体としてポリヒドロキシ酪酸(PHB)を利用する
PHBは、哺乳類、魚類及び節足動物の消化管内で酵素により加水分解され、消化管内でケトン体を放出することが知られています。PHBはある種のバクテリアの細胞質において顆粒状に蓄積されており、容易な操作で無味無臭の粉末にすることができます。

3.PHBは持続的にケトン体を増加させる
PHBはケトン体のポリエステルです。このエステル結合はエステラーゼ活性を持つ酵素によってゆっくりと加水分解され、ケトン体を消化管内で放出します。PHBは数時間かけてゆっくり増加し、持続的に高いケトン体濃度を維持します。PHBを用いることによって、持続的なケトン体濃度の増加が可能になります。

4.認知能力を回復させる
認知症は脳における糖尿病として理解できます。初期では、脳がインスリン依存的なブドウ糖の取り込みができないため、ニューロンがエネルギー不足に陥ります。この不足を解消するためには効果的なエネルギー基質が必要です。このときこそケトン体は、認知症を回復する効果を発揮できます。これには以下の生理学的な根拠があります。

1) ケトン体はブドウ糖と同様に脳血液関門をフリーに通過できる
2) ケトン体はニューロンのミトコンドリアに直接作用する
3) ケトン体はインスリンに依存せずにニューロンに取り込まれる

 以上のことから、私はケトン供与体とりわけPHBを使って「寿司を食べながらケトン体を高く保つ方法」を提唱しようとしています。


アイデア賞受賞コメント
松本 佳津 愛知淑徳大学 創造表現学部教授
「長寿高齢社会を前提とした真に豊かな住空間をインテリアから考え、活用できる具体的な指標を作成する それは「豊かな人生」のデザイン」

 この度は、とても光栄な機会をいただき、誠に有難うございました。

 今まで同業に向けての講演は幾度とありましたが、このような状況は初めてでしたので、有り難いことだと感謝しております。

 審査会は大変エキサイティングで、他の皆様の圧倒的な視点や取り組みに、大いに刺激やヒントをいただきました。また、オンラインのおかげで同業の知り合い、友人たちも応援のため試聴してくださいました。先録りやリハーサルの際、不慣れな私に細やかな心遣いもいただきました。関係者の皆様にも重ねて御礼を申し上げます。

 また来年もぜひチャレンジしたいと思います。

 今度こそ!もっともっと皆様にインテリアの重要性や可能性を感じていただけますよう精進いたします。

 現在、長寿高齢社会のインテリアにおける150の有効事例を具体的に出しています。それにエビデンスをプラスし50程度にしぼりまとめていこうと思っています。また、認知症の方に有効な空間のデザインを日本の状況に合わせ活用できるようにしたいと思っています。カラー、特にコントラスト、反射率を踏まえ具体的に活用できる提案をテクノロジーの力も合わせ確立したいと思っています。それらには、業界を超えての連携が不可欠だと思っており、今回お声かけできたことは大きな一歩だと感じています。

 インテリアは未来を良いものにする決定打です。ぜひご一緒に、より具体的なものへ共にアクションを起こす、イノベーションを起こしていければと思います。現在、名古屋工業大学大学院にも籍を置いており、こちらで論文にも書いていければと思っております。人生100年、今回の機会でまだまだ学びが多いとあらためて感じた次第です。

 賞金は、オンライン留学にあてます!

 ちょうど、海外での現地視察に行きたいと思っていたところがコロナ禍で叶わないのですがオンラインでのレクチャーがありました。どんな時にも打開策はあるものですよね!

 これも今回のチャレンジからいただけたギフトだと思います。有効に生かしていこうと思います。

■第2回ヘルスケアベンチャー大賞 ファイナリスト(各分野 五十音順)
<企業5社>
合同会社アントラクト
 事業内容:StA²BLEによる転倒リスク評価と機能回復訓練事業
株式会社OUI
 事業内容:Smart Eye Cameraを使用した白内障診断AIの開発
株式会社Surfs Med
 事業内容:変形性膝関節症に対する次世代インプラントの開発
歯っぴー株式会社
 事業内容:テクノロジーで普及を拡張させる口腔ケア事業
株式会社レストアビジョン
 事業内容:視覚再生遺伝子治療薬開発

<個人3名>
佐藤拓己(東京工科大学)
 事業内容:寿司を食べながらケトン体を高く保つ方法
松本成史(旭川医科大学)
 事業内容:メンズヘルス指標に有効な新規「勃起力」計測装置の開発
松本佳津(愛知淑徳大学)
 事業内容:長寿高齢社会を前提とした真に豊かな住空間をインテリアから考え、活用できる具体的な指標を作成する

© 2020 Anti-Aging Foundation All Rights Reserved.
日本抗加齢協会 日本抗加齢医学会



第1回ヘルスケアベンチャー大賞 報告

坪田一男
イノベーション委員会委員長
坪田 一男

今回は念願の第1回ヘルスケアベンチャー大賞が大成功に終わったので、その報告である!堀江理事長になって2017年に抗加齢医学会にイノベーション委員会ができた(表1)。

 表1:日本抗加齢医学会イノベーション委員会名簿
【イノベーション委員会】
■委員長
 坪田 一男(慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授)
■委員
 堀江 重郎 (順天堂大学大学院医学研究科泌尿器外科学 教授)
 森下 竜一 (大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学 教授)
 木下  茂 (京都府立医科大学特任講座感覚器未来医療学 教授)
 佐野 元昭 (慶應義塾大学医学部循環器内科 准教授)
 満尾  正 (満尾クリニック 院長)
 新村  健 (兵庫医科大学総合診療科 主任教授)
 古家 大祐 (金沢医科大学糖尿病・内分泌代謝内科 教授)
 江幡 哲也 (株式会社オールアバウト 代表取締役社長)
 福田 伸生 (バイオ・サイト・キャピタル株式会社 専務取締役)

この委員会では抗加齢医学の中からイノベーションを起こし産業化を学会としても推進していきたいとの思いからあらたに作られた委員会だ。ご存じのように現在の保険医療の中で良い医療をすればするほど外貨が流出する。図1)

 図1:医薬品医療機器貿易赤字推移

 ある日の外来を見てみよう。前日角膜移植と白内障の同時手術をした。患者様は大喜び。今まで見えなかった目が見えるようになり、“坪田先生、ありがとうございます。これで日常生活が送れるようになります”と感動である。医師である僕もとってもうれしい。医者になった甲斐があった!!目の前の患者様を最高の医療によって治療し喜ばれた。こんな素晴らしい場面はない。でもここに問題がある。僕の使った手術顕微鏡はドイツのツァイス社製、角膜はアメリカアイバンクからの輸入、使った眼内レンズはアメリカのAMO社製、白内障手術装置はアルコン社アメリカ製だ。世界最高の医療を行うには海外のものを使うしかなく、それによって外貨が流出するのだ。

 すなわち日本の医療の競争力が世界に対してまだまだ足りない。日本全体では図1のように医薬品で3兆円、医療機器で1兆円の輸入超過となっている。合計4兆円。これだけの外貨を他の産業で取り戻すことは大変なことだ。自動車産業以外で4兆円の輸出額をもっている産業自体が育っていない。さてアンチエイジング医学の領域でもこのままいくと日本は同じことになりかねない。世界で一番長寿なごきげんな国のアンチエイジング医学を行うことによって、抗加齢医学会の先生方が良い診療を行うことによって貴重な外貨が失われていくのはぜひ避けたいところである。むしろアンチエイジング医療産業が日本で花開くことによって日本発のアンチエイジング医学が世界で使われ、世界の人をごきげんにして、それによって外貨をかせいでゆく。これがあるべき姿ではないであろうか!なので今坪田はイノベーションに燃えている!微力ながらお役にたちたいと考えているのだ。 なんとかこの状態を打開したい!日本の健康産業、医療が外貨を逆に稼げるようにしていきたい!

日本政府もさまざまな法律を整備

次世代の産業を作るためにはアカデミアの力も必要だとの認識から政府は学校教育法を2015年に変更し大学の責務に教育と研究に加えてイノベーションを追加した(図2)。従来から大学の責務は教育と研究であったが、そこにイノベーションが加わった。

 図2:2015年に改正された学校教育法

 大学で行われた研究もいち早く社会に届けることによって産業につなげようという考えである。この法律は学校にかぎられているが、広く考えればアカデミアすべての力を使って次世代産業を作りたいとの基本的な考えだ。アカデミアは大学ばかりではない。学会も大切なアカデミアの一翼を担っている。

 特に我々の抗加齢医学会は進取の気概にとんだ8500名もの会員を有するアンチエイジング関連トップの学会である。自分も含めてユニークな先生がたくさんいるのが魅力であり強みである!毎年行われる総会の発表にはきらりと光るものも多く、産業の芽になるものもたくさん含まれている。特にこれからの時代はサイエンスをすべて大学にまかせる時代は終わり、インターネットの普及やビッグデータソースのアクセスの広がりなど知のオープン化によって開業の先生の卓越したアイデアが大切な時代になってきている。

 そこで学会理事会ではイノベーション委員¬¬¬会を立ち上げて、抗加齢医学会から社会の変革を起こせるようなイノベーションを育てていこうということになった。特に副理事長の森下竜一先生は2000年初頭から大学発ベンチャーを日本で初めてスタートし、イノベーションを起こしきた先駆者だ。経験も深い。ここにみんなで学ばない手はない!今まさにアンチエイジング医学とイノベーションという画期的な組み合わせから新しい時代がやってこようとしているのだ。

第1回ヘルスケアベンチャー大賞

イノベーション委員会では学会の先生方にイノベーションの重要性や可能性を理解していただくのにどのような活動がいいか検討した。WEB上でのイノベーション講演会や、イノベーションに特化した講習会などさまざまな意見が出たが全員一致で賛成したのが“ヘルスケアベンチャー大賞”をやろうということだった!アンチエイジングの領域の中のさまざまなシーズをもとに新しい可能性を拓き、社会課題の解決につなげていこうという試みだ。新しいベンチャー企業や個人からアイデアをもとにビジネスプランを出したもらいこれを評価し表彰するというものだ。実行委員長を坪田が行い、審査委員長を堀江重郎理事長におねがいした。また主催は抗加齢協会として学会と共催として盛り上げていこうとなった。実務は森下竜一先生の紹介でバイオ・サイト・キャピタルの福田伸生さんと事務局の中村智子さんが担当してくれることになった。この二人がいなければヘルスケアベンチャー大賞はできなかった。この場を借りてあらためてお礼申し上げたい。 何人が応募してくれるかと心配していたがおかげさまで26件の応募があり活況となった。 厳粛な審査のもと会社部門から3社、個人部門から3名が選ばれた(表2)。

 表2:第1回ヘルスケアベンチャー大賞 ファイナリスト(各分野 五十音順)
<企業の部>
 アンチエイジングペプタイド株式会社
  事業内容:機能性ショートペプチドによる化粧品材料の開発
 株式会社イグニス
  事業内容:バーチャルリアリティー(VR)を利用した慢性疼痛の緩和コンテンツの開発
 株式会社レストアビジョン
  事業内容:加齢によって進行する網膜色素変性症の遺伝子治療薬開発
<個人の部>
 小橋 英長
  事業内容:緑内障患者が自己測定可能な簡易型眼圧計(医療機器)の開発
 武田 朱公
  事業内容:スマート端末の顔認証機能を利用した認知機能の簡易スクリーニング法開発
 藤澤 昌司
  事業内容:認知症予防につながる嗅覚機能の回復機器を開発

ファイナルに残った会社部門3社と個人部門3名の事業内容。
それぞれユニークなビジネスモデルを考えて応募してくれた

詳細は表をご覧いただきたい。それぞれ化粧品、疼痛緩和、視覚再生など大変ユニークな製品を作っている。個人部門でも簡易眼圧計の開発、簡易認知機能スクリーニング、匂いでアンチエイジングなどユニークなものばかりであった。これらの合計6チームが先日の第19回抗加齢医学会最中に行われた最終選考会で競い合ったのである。森下竜一先生の司会のもと、各チームがすばらしい発表を行い(写真1)、審査中には経済産業省政策統括調整官の江崎禎英(えざきよしひで)さんの画期的な特別講演が行われた。

 写真1

ヘルスケアベンチャー大賞ファイナルプレゼンテーションの様子。
森下竜一先生司会のもとに6人が素晴らしい発表を行った。

江崎さんの講演はいつもおもしろいが、今回も人生120年時代の新しい考えかたを披露してくれて本当に勉強になった。みなさまも機会があったら江崎さんの講演を一度はお聞きすることを勧める。

最終結果の発表

さて最後に大賞にえらばれたのは機能性ショートペプチドを開発しているアンチエイジングペプタイド(株)と認知機能スクリーニングを開発した大阪大学の武田朱公先生だ(写真2)。詳細を各人から報告してもらったので読んでほしい。あらためておめでとう!このような素晴らしい応募が初回から多数寄せられたことにとても感謝している!これらのアイデアが社会のイノベーションを起こしていけば抗加齢医学の未来も明るい!

 写真2:ヘルスケアベンチャー大賞優勝者の審査委員と優勝者を囲んで。

未来に向けて

 あらためて第1回のヘルスケアベンチャー大賞の報告ができることをうれしく思う。20年前に本日本抗加齢医学会ができて新しい医学が生まれつつあるのを強く感じたのを思い出す。いまアンチエイジングのサイエンスが花開き、これから社会実装されていく時代がやってくる。現在までの病気になってから治療を行うという国民皆保険システムだけでは(これは素晴らしいシステムなので全力で残していくべきだが)、経済も破綻するし患者様もごきげんじゃない!やはり予防医学が大切だ!特に加齢に焦点を当てた予防医学の王様である抗加齢医学が中心になっていくと思うのだ。それを大きな流れとして社会に届けるイノベーションが必要だ!イノベーションはいくらアイデがよくても起こせない。どうやって新しい健康医学を社会に届けるかの勝負が始まっている。これから海外のアンチエイジングシステムを導入するばかりでなく、日本独自のアンチエイジングイノベーションが必要だ。そして日本のアイデア、日本の新しいビジネスモデルで世界を若く健康にし、加齢関連疾患を激減させ、アンチエイジング医学によって日本が外貨を得ていけるようになっていったらいいと強く感じている。来年も第2回ヘルスケアベンチャー大賞を開催予定である。どうぞ皆様引き続きご支援よろしくお願いします。


第1回ヘルスケアベンチャー大賞 受賞

アンチエイジングペプタイド株式会社 代表取締役社長 橋弥 尚孝

この度は、栄えある第1回ヘルスケアベンチャー大賞に選んで頂き、誠に有難うございます。
弊社は、ペプチドを用いて健康で幸せな生活を目指す事を目的としております。
起業のきっかけは、血管新生に関連する新規分子をスクリーニングする中で、新規配列のペプチドAG30を同定した事に始まります。機能解析を進めていくと血管新生作用のみならず、広範な抗菌作用、線維芽細胞活性化作用、免疫応答作用など多彩な機能を有していることが分かりました。これらは創傷治癒に適した作用であることから、当初は創傷治療薬開発を目指した取り組みを開始しましたが、この配列を改変することによる、他分野への応用にも取り組みました。
実際商品化するにあたっては、コストは重要な要素となりますが、アミノ酸配列を短くすることにより、顕著なコストダウンが可能となります。その為に徐々に配列を短くし、検証を行いました。興味深いことに、配列を改変することにより、抗菌活性や線維芽細胞活性化作用の活性バランスが変わることがわかり、それぞれの機能を高めたペプチド作成が可能となりました。そして、創傷治癒目的から化粧品としての利用可能性を探る事に目標を変換し、更に短いペプチドにして線維芽細胞活性化作用が残ったペプチドOSK-9を作成するに至りました。
 OSK-9はヒアルロン酸やコラーゲンの産生増加作用も有しております。実際、シート化した浮遊培養線維芽細胞にOSK-9を添加すると、シートの収縮が確認されました。これは、肌を引き締めてハリを持たせる上で有益な作用であると考えられます。 現在OSK-9は化粧品会社のアルビオンのエイジングケア商品であるアンフィネスシリーズにご利用頂き、高評価を得ております。
 今回ベンチャー大賞候補であった株式会社イグニスのバーチャルリアリティー(VR)を利用した慢性疼痛の緩和コンテンツの開発、株式会社レストアビジョンの加齢によって進行する網膜色素変性症の遺伝子治療薬開発のいずれもが、とても興味深い内容であり、弊社が大賞を頂けた事は幸運だと思っております。
 現在大学を含め様々な研究施設に、起業に値するseedsは多くあると思いますが、研究者単独でビジネスに成功する事は困難です。このヘルスケアベンチャー大賞をきっかけに、多くの既存企業から多くのseedsに注目が届き、多くのseedsが消費者のために花咲く事を願っております。


第1回ヘルスケアベンチャー大賞 学会賞受賞

武田 朱公 大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座准教授

 この度は第1回ヘルスケアベンチャー大賞選考会にて学会賞に選出して頂きましたこと、心より御礼申し上げます。
 高齢化に伴う認知症の増加は様々な形で社会に負担を強いており、その対応は待ったなしの状況にあります。認知症の根本的治療法は未だ確立されていませんが、最近の臨床研究から、早期に発見し適切な介入を行うことで認知症をかなりの程度予防できることが明らかになってきました。生活習慣病の治療や運動療法などにより、認知症の発症リスクを確実に減らせることが分かってきています。
 認知症発症予防を効果的に行うためには、まずは認知機能の低下を早期の段階で発見することが重要になります。しかしながら現状、このステップが上手くっていません。最大の問題は、スクリーニングに使えるような簡便な認知機能評価法が存在しない点にあります。通常は紙ベースでの質問形式の認知機能検査を初期評価として行いますが、検査に時間がかかり、心理的ストレスも大きく、スクリーニング的に施行するには難点があります。
 この問題を解決するため、私共は視線検出技術を利用した全く新しい認知機能評価法を開発してきました。「目の動き」を利用することで、映像を眺めるだけで被験者の認知機能を定量的に測定するというシステムです。タスク映像を眺める視線の動きを記録し解析することで、従来の認知機能検査の精度に匹敵するスコアが得られるようになっています。
 このシステムは応用範囲が非常に広く、大きな可能性があると考えています。健康診断で認知症のスクリーニングを行ったり、最近問題になっている認知症患者の運転免許の適正検査などにも使用できる可能性があります。誰でも簡単に認知機能をチェックできるため、脳の健康状態の維持や認知症予防に活用することが出来ます。また本システムは言語の介在をあまり必要としないため、言語の壁を越えやすく、グローバル展開も可能です。私自身、認知症患者の診療に日々携わっていますが、このシステムは認知症医療に非常に大きなメリットをもたらすと確信しています。
 またこのことは、大きなビジネスチャンスにも繋がると考えています。応用範囲が広範であるため、様々な形でのビジネスが可能です。グローバル展開も視野に入れた準備を進めている段階です。今回、学会賞に選出して頂き、またご支援を賜りましたことは、今後のベンチャー企業に向けて大きな弾みとなります。この賞を頂いたことを励みにして、今後も研究開発とビジネス展開に向けて益々頑張っていきたいと思っております。


医学会からイノベーションを

坪田一男

 イノベーションは「科学的発見や技術的発明を洞察力と融合し発展させ、新たな社会的価値や経済的価値を生み出す革新」と定義付けられています。

 各国がイノベーション政策を掲げ世界的に競争が激しくなっている中で、わが国の国際競争力を維持・発展させていくためには新技術の創造・育成を図り、優れた研究成果を効果的にイノベーションに次々とつなげていくことが重要で、そのために産学官が一体となってイノベーションを生み出すシステムを強化する必要があります。

 そこで、抗加齢医学会もイノベーションに協力をしようと、抗加齢医学会のシーズをもとに新しい可能性を開き、社会的課題の解決の貢献に結び付けようと、イノベーション委員会を立ち上げました。

 「健康・医療におけるイノベーションとは何か」抗加齢医学会の中では、抗加齢医学というものがビジネス化することによってヘルスケアイノベーションを作れると理解しています。

 20世紀は空間を移動する時代。車ができて、飛行機ができて、そこに人類は価値をみいだしましたが、21世紀は時間舳をいかに上るか健康で長く生きるかに価値がシフトしていると思います。
その時にアンチエイジングというのはすごく重要で、産業のシーズになり得、創薬にとってもすごく重要だと思っています。

 国の政策とも載せ、競合して色々と新しい価値を作っていく。ユニークな価値をつくっていく。抗加齢医学会も何かできるはずです。 世界的にみても寿命が長く、先進国の中でも著しく高齢化が進む日本だからこそ、世界に発信できるイノベーティブなものが生まれることを期待しています。

 前人未踏ですが、ロールモデルにるような事業になればと考えています。

 会員の皆様には、多くのご応募をお待ちしています。

イノベーション委員会
委員長 坪田 一男 

プロジェクトの推進に向けた熱い想い

坪田一男

坪田 一男
ヘルスケアベンチャー大賞実行委員長/日本抗加齢医学会イノベーション委員会委員/慶應義塾大学医学部眼科学教室教授
森下竜一

森下 竜一
日本抗加齢協会副理事長/日本抗加齢医学会副理事長/大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座教授
福田 伸生

福田 伸生
バイオ・サイト・キャピタル株式会社 専務取締役/ヘルスケアベンチャー大賞事務局

福田 本日はお忙しい中、お時間を割いていただき、ありがとうございます。
いよいよ「医学会からイノベーションを」と標榜してヘルスケアベンチャー大賞の募集を開始することとなりました。坪田先生は慶應義塾大学でも健康医療ベンチャー大賞に関わっていらっしゃいますね。

坪田 はい、「慶應医学部からベンチャー100社創出」を旗印に掲げてスタートしました。今年第3回を開催しますが、運営には学生たちが積極的に関わっています。健康医療に関わるベンチャー企業やこれから起業しようという学生・院生・社会人の方々から幅広く応募いただいていますが、良い意味で大学という舞台装置が上手く働いているかなと感じています。 そこで、大学ではなく、医学会だったらどんなイノベーションが起こせるかなと思ったわけです。

福田 それで、森下先生に持ち掛けた?

森下 はい、持ち掛けられました。

坪田 森下先生は、イノベーションの体現者ですから。

森下 イノベーションにもいろいろあると思いますが、過去の延長ではなく非連続であるという意味では、医師でありながら起業してIPOもするという経験はそうかもしれませんね。当時は、今ほどはモダリティの多様化が言われていない時代でしたから、遺伝子治療を事業化しようと考える人間はかなりイノベーターだったかもしれません(笑)。

坪田 疾患メカニズムの解明も進んでいますが、治療法も様々な範疇のものが開発されています。今後は医療の世界にもAIなどの新しい技術がどんどん入り込んでくるでしょう。

森下 AIもIoTもヘルスケアの分野では必須のツールになっていくと思います。それらの進歩を取り込むことで、イノベーションを以前よりも起こしやすくなっているでしょう。でも、ただ起業すれば良いという訳ではないと思います。ビジネスとしてやるだけの魅力が必要です。今の時代は、起業をしても新しいことにどんどん挑戦していかないと、社員が面白くないと言って辞めてしまうそうです。だから、経営も大変です。既に起業された方々も日々新たな事業に挑戦しているのではないかと思いますが、それも今回のコンテストの募集対象ですよね。

坪田 はい、そうです。慶應ではベンチャー創出を目標にしました。若い人たちに挑戦してほしかったのと、サポートする周りの人たちを増やして巻き込みたかったから、分かり易い目標を立てました。しかし、今回のヘルスケアベンチャー大賞においては、アンチエイジングという大命題がありますから、それこそモダリティは問いません。IoTでもAIでも構いませんし、ベンチャーと名前に入っていますが、起業にはそれほどこだわりません。応募下さったビジネスプランをinvention 、commercialization、社会貢献の3点から評価してファイナリストを選び、最後はピッチ形式で大賞を競ってもらいます。だから大企業の中の新規事業でもウエルカムです。

森下 でも、今までの自分たちのビジネスを覆すくらいでないとイノベーティブとは言えないから、結果としてスピンオフベンチャーを創ってしまうかもしれませんね。

坪田 大いに目指して欲しいと思います!大学の研究者も一緒です。組織の中に安住するのではなく、革新的な技術はどんどん世に問う姿勢が必要ではないでしょうか。慶應の場合には副賞として起業支援をビジネス・スクールにお願いしましたが、今回はJSTのプレベンチャー制度であるSTART事業のプロモーターにお願いすることになっています。大学の研究者で起業を考えている方には、フィージビリティー・スタディーのための研究費も獲得できる機会になるかもしれない。

森下 まずは第1回目なので、いろいろなアイデアを幅広く応募してもらうのが良いのではないでしょうか。

福田 今回のコンテストの大きなテーマであるアンチエイジングにも触れていただけますでしょうか。最近はウエルエイジングという言葉もよく見かけますが、

坪田 アンチエイジングもウエルエイジングも元気で長寿を享受することを目指す理論的・実践的医学という意味では同じだと思いますが、我々はアンチエイジングで行きたい。「アンチ」です。

森下 「ウエル」ではなく「アンチ」ですか(笑)。

坪田 そうです。ウエルだとなんとなく改良という感じがします。もっと尖がってもいいのではないかと、アンチ既成概念だからこそイノベーティブなアイデアや成果が生まれるのではないかと思います。どんどん挑戦者に応募してもらって、勝ち残って欲しい。そんなコンテストになったらと思います。

森下 それと、どんな課題を解決したいのかがはっきりしている提案にして欲しいですね。例えば身近な人の何々を救いたいとか。病気でなくても欲求でも構いません。長生きするなら健康でいたい、普通の生活を送りたい、人生を楽しみたいという欲求です。そして同じ課題を抱えている人が世の中に大勢居て、ああそうだなと誰もが共感できるような提案だと素晴らしいと思います。

坪田 その通りですね。第1回だけに手探りではありますが、どんな応募があるか、夢が膨らみます。

福田 ところで、このコンテストは日本医師会に加えて経済産業省も後援していただけることになりました。

坪田 経済産業省は生涯現役社会に向けた取り組みを行っています。健康寿命と平均寿命のギャップを埋めるために私達医師や医学会が取り組んでいることだけではなく、例えば認知症と共生できる社会基盤をどう構築していくかなど、私達の学会、日本抗加齢医学会が果たさなければいけない役割がもっとあると思います。

森下 おっしゃる通りかと思います。超高齢化社会に進む日本の現状は待ったなしです。政府も公的保険外の予防・健康管理サービスを活用して、国民の健康寿命の延伸と新産業創出を同時に達成する官民連携を進めています。私達も現在の薬機法の枠にとらわれない柔軟な発想で、健康の増進に資する技術シーズの実用化を急いで考える必要があります。そして民間がやるからには社会貢献と同時に収益の上がるビジネスモデルでなければ長続きしません。基礎研究は大切ですが、全く新しい発見であっても、実用化・商業化の見えるプランでなければ今回のコンテストには勝ち残れないと思います。

坪田 医学会からのイノベーションですが、そこは学会発表とは一線を画して、このようなコンテストを行うこと自体がイノベーションを起すということですね。同感です。それと、先ほども言いましたように社会において抗加齢医学会が果たすべき役割は大きいわけです。その一環として、このコンテストに入賞されたプロジェクトのビジネス化に関しても、医学的な見地でのアドバイスや監修を必要に応じて用意したいと思います。

福田 医学会ならではですね。

坪田 そうです。新しいことに挑戦している人達を心から応援するコンテストにしたいと思いますので、できるだけ多くの学会員に応募していただきたい。同時に、学会員以外の方々にもこれを契機に当学会の活動に興味を持っていただくことを期待しています。
今回が第1回目ですが、長く続く企画にしたいとイノベーション委員会一同願っておりますので、皆様からの応募をお待ちしております。

福田 本日はお忙しいところ、坪田先生、森下先生、ありがとうございました。

対談PDF
対談 プロジェクトに推進に向けた熱い想い PDF


© 2020 Anti-Aging Foundation All Rights Reserved.
日本抗加齢協会 日本抗加齢医学会